クロスベイスの学習サポート教室DO-YAでは、月に1回、「てつがくカフェ」を開催しています。
授業の最後の時間を少しだけもらって、参加している子どもも、講師の大人も一緒に円になり、30分、テーマについて自由に話します。
例えば9月は「「おとな」ってどんな人?」、10月は、「居心地が良いってどんなこと?」という問いを考えてみました。
「てつがくカフェ」の問いは、「こうなったら良い」や「こうするべき」をすぐに答えるような問いではありません。「こうするべき・こうあるべき」の前に、まず「それってそもそも何?」があります。「「おとな」になるべき」ということでなく、みんなが知っている・考えているおとなって何?というところから、考えます。いいと思ってるとしたら、それはなんで?ということも。
ひとりひとり、自分の体験や記憶を例にして、違った/そして似ている答えが出てきます。そこに、私たちが普段使っている言葉、考え方の意味や前提があらわれます。
「おとなってどんな人?」という問いには、「はんだんできる人」「責任を持った言動ができる人」「すぐ怒る!働いている!お金を持っている!」はたまた「おとなはなんでもわかってそうだけど、案外よくわかってない人が多そう」など、なるほどという答えがたくさん。一つ一つお互いに見合って、わからないこと、もっと聞きたいことがあれば、質問をします。
質問の仕方も、相手の考えをよく聞くためにはとても大事です。「それってどういう意味?」「例えば?」「なんで?」など、よくあるいくつかの質問の仕方を見てもらって、質問を考えます。
とはいえ、これは「ワークショップ」というほどのものでもなく、「手法」や「論理的思考」といったことには、それほど大きな意味はありません。考えたことのない問いを、普段そんなことをわざわざ話さない人たちと一緒に話す時間の中で、「この人はそんなふうに考えるんやなあ」、「そんなこと自分もあったわ」と、互いに関心を持ち合うことができる時間・場所が、とにかくあれば良いな、という気持ちで実施しています。そういう時間は、子どもにも、大人にも、ほとんどないように感じます。
大人に期待される答えではなく、自分の話が「ちゃんと」聞かれる場所、他の人の考えを「わからん」だけで終わりにはしない場所。そういう場所にいることは、必ずしも「居心地が良い」わけではありません。沈黙の中の不安、質問されることへのおそれ、「わからない」と声を出す勇気。気恥ずかしさや緊張でソワソワしていたり、みんなに話すのはちょっと嫌で、となりの人にこそっと伝えたり、ということもよくあります。それでも何回かやっているといつの間にか慣れてきていて、最近では小学生が「次のお話はいつ?」と聞いてきたりもするのです。
ちょっと緊張するけど互いの考えを、率直に、大事に聞き合う。そんな雰囲気もクロスベイスの「アタリマエ」のひとつになっていけば良いなと思います。